NEWAYシートカッターの使用方法

seatcut
作業のイメージとしてはこのようになります。
実際には45度で完全に修正する前に30度や60度で幅を狭めながらカットした方が
早く綺麗に仕上がります。

seat_worn.jpg
加工前のバルブシートです。辺り面の幅が広く(約2mm)なっており、
カーボンの噛み込みなどで少し荒れています。
一般に排気側のほうが痛みやすいです。
加工前にガーボン等は取り除いておきましょう。


カッターの当たりを分かりやすくするために青ニスを塗ってます。通常は塗る必要は有りません。
最近は45度のカッターをセットし、手で軽く回して当たりを見ています。
全体に均一にあたっていない場合、パイロットステムのセット不良(異物噛み込み、ガイド偏磨耗)が考えられます。

brush.jpg
バルブガイドを清掃にはナイロン等の柔らかな素材のスパイラルブラシをお勧めします。ガイド直径よりやや大きいサイズの物が
使いやすいです。


ガイドを清掃してからパイロットステムをセットします。
もちろんステムも清掃してください。
アクセサリーキットに含まれるパイロットプーラーピンを端部の穴に通し、固定式の場合には軽く押し込み、
調整式の場合は反対側の端のローレット部を抑えながら軽くひねる事でコレットが広がり固定されます。

固定したらガタつきがないか点検して下さい。


最初に45度からカット開始しています。レンチは時計回りに回してください。
この角度がカッターの当たりを確認しやすいと思います。
周囲が一定の削れ方になるのが理想的ですが、様々な原因で偏りが生じます。
バルブガイドの偏磨耗、パイロットステムのがたつき、加圧し過ぎなど。


イージーターンレンチを使用するとすごく楽です。
左手でグリップを一定の位置に保ち、右手でグルグルとハンドルを
回すだけで軸のブレも無く、一定の荷重で加工できます。
確かにイージーです。


削れ方を確認します。一週繋がっていない場合はバルブガイドの偏磨耗やバルブシートの偏磨耗が
考えられます。
今回は見やすくするために青ニスを使用していますがインクが刃に詰まるので使わない方が良いとおもいます。

カット一回ごとにブラシでカッターを清掃しましょう。
切り屑を排出しなければ正確な加工が出来ません。


60度のカット後です。45度のカッターよりゴリゴリと食い込んで
行くので力を抜いて行いましょう。全ての角度で最初と最後の力加減が重要です。
ジワジワと力を入れ始め、カットが終わったら自然とフェードアウトさせ、最後は
下向きに力を加えずに数回転させます。
60度や75度のカッターでは、3枚の刃をそれぞれ微妙にオフセットさせると綺麗に仕上がります。
オフセット幅は切り欠きの幅の1/3ずつ位で良いかと思います。オフセットさせないと削り残しが生じます。
いろいろとテストした結果、一枚だけ切り欠き無しの刃を取り付けると、両方の刃のメリットを活かして綺麗に
加工ができる事がわかっています。是非お試し下さい。


30度のカット後。30度は削れにくいです。


75度のカット後。純正状態では30度・45度・60度だけのバルブシートも
75度のカットを行うことでなるべく段付を無くし、スムーズに吸排気出来るようになります。。
各カットの仕上がりを良くするためには、正確に真上から下向きに力を加えること、力を一定に保つこと、
加工幅を広くしすぎないことだと思います。一つの角度ばかり加工すると、加工面幅が次第に増して、
それに伴って加工精度が落ちるようです。隣の角度も加工してやると加工面幅の増加を抑えることが出来ます。


比べてみるといかにも抵抗がなさそうです。
加工の所要時間はシート一箇所で数分といったところです。
通常のシートカットも加工待ちの時間がなく、
特に状態の悪い箇所だけの修正もすぐに出来るので便利です。
ちなみに右が固定式、左が調整式のパイロットです。


新たに製作してみたスケール。これと比較すると当たり面幅が一目瞭然。
一列ごとに切って使用してください。黒線の隙間が黒線の中間のサイズ(1.15mmなど)になっているので
0.05mm以上の精度で分かります。まあ、相対的な比較には十分な精度だと思います。
バルブのセット長を合わせるのにも重宝してます。


調整式パイロットステムの構造はこのようになっています。
コレット部分がガイド内に収まるように位置を調整してからネジを締めてください。
コレット等の細かな部品も取り寄せ可能なので安心して使用できます。
販売についてはこちらをどうぞ。