
耐久レース等で未だに活躍中のスターレットですが、レース用エンジン製作用時に薄めのメタルヘッドガスケットを使用し圧縮比を上げます。その際に使用されていたTRD製が生産廃止となり、入手が困難になるためまとめて特注製作しました。
ボア74.5mm用、厚みは以下の4種類となります。
.020″ 0.508mm
.023″ 0.584mm
.027″ 0.686mm
.030″ 0.762mm
オンラインストアから購入可能です。
耐久レース等で未だに活躍中のスターレットですが、レース用エンジン製作用時に薄めのメタルヘッドガスケットを使用し圧縮比を上げます。その際に使用されていたTRD製が生産廃止となり、入手が困難になるためまとめて特注製作しました。
ボア74.5mm用、厚みは以下の4種類となります。
.020″ 0.508mm
.023″ 0.584mm
.027″ 0.686mm
.030″ 0.762mm
オンラインストアから購入可能です。
特注ピストンは製作回数が多い車種用だとノウハウの蓄積により完成度が高くなる場合が多いです。RoverのKシリーズ用のピストンも結構な回数製作しており、品質に自信があります。
ノーマルのスリーブだと、真円度が低く、ブローバイガスやオイル消費が多くなりやすく、フリクションも大きくなりがちです。固定もヘッドで押さえつけてあるだけなのでガスケット抜けが定番トラブルとなっています。ベースの1.4Lから1.8Lまで拡大した結果、ピストンの寸法にも若干無理があり、棚落ち等のトラブルが発生している車両も見受けられます。対策としてシリンダースリーブを製作、圧入してからダミーヘッドを取り付けボーリング&ホーニングを行うケースが増えています。
今回のピストンも圧入スリーブ用で製作しています。
ピストンピンは純正が圧入タイプですが、フルフロー用で製作、コンロッド小端部肉厚にあまり余裕がないのでピン径を縮小することでブッシュ分の寸法を稼いでいます。
ピンボス周りの肉抜きやピンボス間の肉抜き等で重量を削っています。ラウンドタイプの鍛造型を使用していますが最終的な形状はスリッパータイプに仕上がっています。
当社の特注ピストンは特定の車種を専門的に手掛けるショップさんや、やり込み志向のプライベーターさんからの注文もあり、要望に応じて様々な改良を提案しています。
特に古めの車両だとピストンとコンロッドを同時に製作すると大きく性能を伸ばせる場合があります。
特注ピストンの詳細はこちらをどうぞ。
CP社、JE社、Wiseco社での製作が可能です。各メーカーそれぞれ特徴、得意不得意があり、なかなか面白いですよ。
ホンダのK20Aはチューニングベースとして人気があり、様々なパーツが販売されていますが、コンロッドは純正寸法のものばかりです。そこで5mmロングにて軽量なコンロッドを製作、販売しております。
芯間距離を5mm延長、ピン径を22mmから21mmに縮小しています。ボルトはARP2000 3/8インチで純正ボルトよりかなり強いです。強度と重量のバランスの良いところを狙って設計してあります。
ボルト付近の形状もうまく処理できています。
専用設計の5mmショートピストンが必要となります。ご希望のボア、圧縮比での受注生産となります。
寸法等の詳細はこちらよりご確認下さい。
前回の20バルブ用に続き、16バルブ用を紹介します。
16バルブよりバルブ径もバルブリフトも大きくなるのでバルブリセスが深くなります。
設定圧縮比12.5(0.8㎜ガスケット使用時)でもピストントップの盛り上がりは少なく済んでいます。
スカート長は長め、ピンオフセットの設定もしています。ストリート使用でも調子よく使えます。
こちらも一台分だけオンラインストアで販売中です。
4Aの排気量アップの定番の7A-FE改7AG。元が中低速重視の実用エンジンなので純正コンロッドは脆弱で、高回転向けにチューニングするには交換が推奨される箇所です。ただ強化するだけでは勿体ないので5mmロングコンロッドを作りました。
芯間距離を5mm延長、ピン径は20mm、ブッシュ入りフルフロー。ボルトはARP2000 3/8インチで純正ボルトよりかなり強いです。強度と重量のバランスの良いところを狙って設計しました。
ボルト付近の形状もうまく処理できています。
メタル位置決め用のノッチが2種類あり、7A純正メタルかF20C用のメタル(いわゆるブラックメタル)が使用できます。
専用の5mmショートピストンが必要となります。スズキ ハヤブサ用ピストンも流用出来るとか(流用は各自で調査してから自己責任でやってください)。ご希望のボア、圧縮比での受注生産となります。
寸法等の詳細はこちらよりご確認下さい。
ピストンも数種類在庫があるので近日中に紹介、オンラインストアに掲載予定です。
追加生産するか悩んでいた4E用のコンロッドですが、お勧めできる代替品も無いので製作しました。
Scat製は安価なのですがやたらと重たく、ブロックと豪快に干渉します…。800馬力くらいまで耐えられそうなゴツさですが、普通そんなに出さないしw
他だとMaxpeedingrodsとかいう怪しいメーカーの物くらいしか無く、他メーカーは大幅に高価。
今回のロットは3/8″ボルト込みで405g前後に仕上がっていました。かなり軽めの設計なのですが、純正の貧弱なコンロッドよりは重たいです。その分以上に強度は圧倒的に強いです。300ps程度でも問題ありません。それくらい出すとミッション壊れますがw
ブーストアップやポン付けタービン、TD05あたりに最適です。既製品だと価格と強度と重量のバランスが一番良いと思います。
ボルト周りの形状も良いです。
ボルト先端側もきちんとネジ山を切除して応力の集中を防ぐ作りです。
ブッシュ入りフルフロー仕様です。社外ピストンとの組み合わせを前提としています。
スターレット乗りの力になれば幸いです。
先日のシートカットに引き続き、バルブの擦り合わせ方法を紹介します。
初めにバルブガイドの内径をスパイラルブラシ等で清掃します。バルブステムも清潔なウエス等で拭き取ります。
バルブにタコ棒を貼り付け、当たり面に適量のバルブコンパウンドをつけ、バルブガイドに挿入、擦り合わせを行います。シートカット済みだと細目を使用します。コンパウンドの量はバルブサイズによります。バルブサイズ30㎜で米粒より小さめで十分だと思います。多すぎるとはみ出して無駄になるので、やりながら調整してください。初期馴染みの促進や当たりの確認でやる分には一か所5秒~10秒程度で十分です。両手が塞がるので写真は無しw
擦り合わせが終わったらコンパウンドを軽く拭い、状態を確かめます。
コンパウンドで削られた部分が梨地になっています。一周均一に仕上がっていれば完成です。
バルブも同様に拭き取ります。こちらも均一に当たっているか確認します。
最後にそのままの状態で、ごく軽く擦り合わせを行うと当たっている箇所の色が濃くなり、正確に分かります。濃くなった線が一周綺麗につながっていれば大丈夫です。拭き取った残りのコンパウンドの油分や砕けた粒子によって極細目で擦り合わせをやったような状態になります。光明丹を使用するより正確に当たりが分かり、手間もかからないのでこの方法はおすすめです。
拭き取りの際に脱脂したり、擦り合わせをゴリゴリやるとカジるので気を付けてね。
ニューウェイ社のバルブシートカッターを使用したシートカットの方法を紹介します。サンプルのエンジンはホンダのK20Aです。
施工前の排気側のバルブシートを見ると、当たり面の45度面にカーボンを噛み込んだ痕の凹凸があり本来のシール性能が低下している事が見て取れます。今回のエンジンの走行距離は約10万キロです。シビックR用ですが、割と普通に使われていたエンジンだと思います。
パイロットステム(カッターのガイド棒)をバルブガイドに挿入します。挿入前にガイド内を清掃、パイロットステムも拭き取って下さい。異物を噛み込むと傷がついたりパイロットが斜めになります。固定式パイロットステムの場合、差し込み部分が微妙なテーパーになっているので抜き取り用のピンを使用し軽く捻りながら差し込む事で固定します。
加工直径に合わせて刃の位置を調整します。
カッターは静かに設置します。落とすとバルブシートに傷が入り、刃の損傷にも繋がります。
パイロットステムの垂直度、バルブシートの歪みを確認するため、手で軽く回します。
全周に渡って刃が光沢が出ていれば刃が当たっているので大丈夫です。片側のみ当たったり、部分的に当たらない場合、パイロットステムが斜めになっているかバルブシートが歪んでいる可能性があるので確認してください。
イージーターンレンチを使用する場合、片手で垂直に保持、加圧し、もう片手で回転させます。連続で回転させられるのでTレンチと比べ簡単に効率的に加工が出来ます。
加工後には刃に切り子が付くので毎回ブラシで清掃してください。
今回は元状態より外当たりにするため、45度にて軽くカット、60度にて当たり幅調整、45度にて仕上げ加工という順序で加工しました。十分に外当たりになっている場合30度も使用します。
納得の行く状態になったら完成です。
NEWAY社バルブシートカッターの詳細はこちらをご覧ください。
次回の記事はバルブすり合わせと当たり確認の紹介を予定しています。
近年の四輪エンジンは排ガス低減の為、ほぼ100%がエアフローセンサーを採用していると思われます。精密な計測を行うセンサーで定期的な交換が必要になります。
Amazon等で検索すると格安な互換品を謳う商品が見つかる場合もありますが、出力特性を似せただけの粗悪品で結構危険なのでご注意ください。
右が純正品です。エンジンの振動を受けるのでセンサー素子の足は板状の専用品になっています。左のフェイクは一般的なセンサー素子をはんだ付けしてあるので折れる確率が高いです。折れたら運次第で燃焼室行きです。素子の上の開口部の形状も全然違いますねw
この例ではホットワイヤ式なのですが、それぞれ2個並んでいるセンサー素子の左側の形状がコピー品の方は大きく異なります。2個並んでいるのは、特性が異なる素子を使い分け低流量と高流量を幅広く高精度で計測するためです。左側は高流量側です。熱容量が大きくなるとセンサーの反応が悪くなります。
このセンサーがついていた車両の場合、低負荷で走っている分には大きな違和感は無いのですがアクセルを大きく開けた瞬間にセンサーの反応が間に合わず、燃料が薄く、息継ぎ症状が出ていました。
エアフローセンサーは燃料制御と点火時期制御の基準になる重要なセンサーです。エンジンの調子を保つには純正品を使用してくださいね。
純正品の場合、クランクシャフトの製法は鍛造と鋳造の2種類があります。あなたの車のクランクはどっちか知ってる?
洗浄台にちょうどクランクが並んでいたので撮影しました。別のエンジン用なので形状の違いは置いておくとして、製法により顕著にことなるのが矢印部分の型の合わせ部分の形状です。
左の境目が細い線になっている方が鋳造です。ぴったり合わさった砂型に溶けた鉄を注いで作るので、無加工の場所は型の合わせ目がそのまま残ります。
右の鍛造の方は金型で圧力を掛けて成型するのですが、複数回の工程があり、工程ごとに誤差がでます。その個体差を吸収するため、金型の合わせ面に余肉の逃げ場があり、切断したり削って仕上げてあります。そのため合わせ面の跡の幅は広めになります。
製法の違いそのものでも強度差が出ます。鋳造だと組織を均一にすることが難しく、巣穴等の微小な欠陥が出来やすいです。対して鍛造だと成形の過程できれいに鍛流線という層の流れが出る為、強度が向上します。更に使用する材質が大きく異なり、鋳造だと溶けた際にサラサラと流れ込みやすい合金が好まれます。対して鍛造は高温下で強い力で変形させても割れないような粘りがある合金が使用されます。クランクの場合、粘りのある材料の方が割れにくく、高回転や高出力に向いています。エンジンによってはグレードによって別のクランクが使用されているものもあります。
一部の人気車種向けには高性能なクランクが市販されていますが、それ以外だとあるものを使用するか、切削で製作する事になります。
チューニングを考えると限界はクランクやブロックで決まる場合が多いです。
エンジンの音や回転フィーリングにも大きく関わる個所ですが、クランクのオーバークオリティーが省燃費の要求と相反する事につながる為、大きなチューニングポテンシャルを持つエンジンは減りつつあります。
どうする?手始めにクランク作る?ってのは嫌だなw
鋳造クランクの注意点
直列六気筒鍛造クランクの製造工程(外部リンク、後半に写真と説明があります)